社是

  「おもしろ おかしく」  
   仕事でも遊びでも同じことなのだが、おもしろいと思ってやれば、効率が上がるし、疲れないものだ。アメリカの心理学、労働生理学関係の書物によれば、おもしろいなぁと思ってした仕事と、上からやってくれと言われていやいやした仕事を比較すると、2倍とか3倍、ものによっては4倍の疲労度の差が出るそうである。ということは、その人がおもしろいと思って仕事を行えば、能力は約3倍上がり、疲労度は約3分の1で済む。本来3人でするところを1人でしたわけで、労働する側も、9時間労働したにもかかわらず、3時間しか疲れていないことになる。 社是「おもしろ おかしく」は、決していい加減な説ではないのだ。そして「おもしろ おかしく」仕事をするように仕向けるのも社員教育なのである。  
   
   どうして我々がこの世に生を受けたのか、我々の人生とはどういうものなのかを考えれば、やはり人生はおもしろく生きるほうがいいという答えが出る。さらに、寝て待つのではなく自分からそこへ飛び込んでいけば、つまらないと思っていたものでも必ずおもしろくなってくるということを覚えてもらえばいい。だが、どれだけ努力してもダメな場合もある。そんな時は、「イヤならやめろ。新しい道をまた選びなさい。」というのが、会社の哲学である。「おもしろ おかしく」働く企業を目指している。だが、3年も5年もいて、いろいろ「おもしろ おかしく」やろうと努力しても、全然おもしろくなかったとしたら、それは、この会社では望みはないということだ。やめて、積極的に別の道を探すべきなのである。  
   
   「おもしろ おかしく」を社是にしていることで、勘違いされやすいのだが、どんな人でも「おもしろ おかしく」働けるわけではない。人さまざまだから、やり方に合わない人も当然いるに決まっている。だから、うちに適した人が来てくれたらいいのであって、「イヤとか合わない」と思って働いていたら、その人もかわいそうだし、会社も能率が上がらない。だから、そんな人には、「自分に合った会社へ行け。それが本人のためだ。」と勧める。ただし、「おもしろ おかしい」ものを見つけるまで、ある程度の期間は必要だ。学校を出てすぐ「おもしろ おかしく」やるというのは、難しい。だから、3年や5年は一生懸命やれと言うのだ。「仕事がおもしろくない」という人に一番言いたいのは、「あなたは、イヤと言えるほど一生懸命やってみたのか」ということである。いい加減なやつは、初めから「あれもおもしろくない、これもおもしろくない」と言うものだ。だいたい人間は、3年間必死になったら、自分の道を創って、上司が何を言おうが、自分の好きなレールを敷いていくぐらいの凄みが出てくるものなのである。だからまずは、必死にやってみることだ。それでもダメなら、次の仕事を考えればいい。何もやらずに「おもしろ おかしく」は見つからないのである。  

堀場 雅夫 ビジネス心得帖より

制定小俣 政英

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